起き抜けに、夫に「卒業ソングと言えば?」と聞かれる。
私は時代と地域のせいか、学校方面はもう「贈る言葉」一辺倒で、この話題は面白くもなんともない。
そう言うと夫は「じゃ、自分にとっての卒業ソングでいい」と言うので結構悩む。
卒業ソングって要は、これまでいた場所への名残惜しさから来るものだと思うけど、私はいつも、卒業後に行く場所が楽しみで仕方がなかったので、まあその点は「贈る言葉」でちょうどよかったかなあと。
だけど、大学卒業の時の、あの、学生時代が終わって、これまでよるとさわると一緒にいた仲間が大人の顔をして全国に散っていく、あのタイミングは何ともいえないものがあった。思わずその場に佇んだ私のその心情を代弁してくれるのは、小沢健二「さよならなんて云えないよ」だと思った。
「左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる 僕は思う この瞬間は続くと いつまでも」
「南風を待ってる 旅立つ日をずっと待ってる」
「本当は思ってる 二度と戻らない美しい日にいると」
「そして静かに心は離れていくと」
この曲を聞くと、友達と全国あちこちで遊んだ光景や、誰かの部屋に集まって騒いだこと、どうでもいい話で笑っていたこと、そのとき私が感じていたことなどを懐かしく思い出す。
大学の卒業式が軒並み中止となっているこの春。皆さんの心に浮かぶ「卒業ソング」は何ですか?