gosyoakamon

桐壷をめぐる人々 ~超訳源氏物語「桐壷」~ その二十六②

㉖ 入内の噂–2

 

「なにそれ。何か意味あるの?桐壷更衣と比肩する人はいないんじゃなかった訳?」

 

「それがね、帝付きの典侍(ないしのすけ=女官の役職)が、桐壷更衣にそっくりな人がいるからって進言したら、帝がその気におなり遊ばしたって話なのよ」

 

「えっ?!…え~っと、色々突っ込みどころが満載なんだけどどこから行こう?そ、そうだ、誰なのよその、新しい、桐壷更衣にそっくりの人って?!」

 

「先代の帝の四の宮(4女)様だそうよ。その、帝にこの方の入内を進言したっていう典侍は先代の帝にも仕えていて、四の宮様の事も知ってたらしいの。今も時々お目にかかるらしくてさ、それで。すっごく母君に大切に育てられてた姫なんだって」

 

「いやしかし…ねえ。それだけ言うからにはよっぽど瓜二つなんだとは思うけど、せっかく…せっかくって言っていいのか分かんないけど、こうして桐壷更衣がいなくなって宮中も落ち着いてきたっていうのによ?またその方に帝が入れあげちゃったりなんかしちゃったら、どうする訳?!」

 

「私もちょっとそう思う。いくら帝が元気がないからって、ちょっとその典侍、仕事の頑張り方間違えてると思うのよねえ~」

 

「ほんとそれ。…ってか、私達が不甲斐ないって事でもあるのが腹立たしいわよね」

 

「でもさ、結局のところは顔なわけじゃない?今回の件でそれがはっきりしたのよ。私たちにはどうしようもない話だと思うわ。親に何か言われても、そりゃあんたたちのせいだろ、って私は言ってやろうと思ってる。桐壷更衣の顔に産んでくれてたら良かったのに、ってね」

 

「なるほど。確かにそうだわね。と、なると、顔だけで選ばれた四の宮様ってどうなの?って話にならないかしら?明らかに、桐壷更衣の身代わりだわよ?」

 

「そこよねえ~。入内して寵愛を受けることは確実なんだけど、どうなんだろうって考えるわよね。そりゃあ、帝の寵愛を受けるって事だけでもう、凄いことなんだけど、1人の人間として、誰かの身代わりに愛されるのってちょっと哀しいわよね」