gosyo10

桐壷をめぐる人々 ~超訳源氏物語「桐壷」~ その三十四①

34 光源氏の元服–1

 

清々しい青空が、宮中の上空に広がっております。天もこの慶賀を寿いでいるのではないでしょうか。あの日誕生した美しい若君、源氏の君が本日、めでたくご元服あそばすこととなりました。この祝典の模様を、わたくし靫負命婦、ゆげいのみょうぶが宮殿の会場から実況中継いたします。

 

ご覧ください、この会場の麗しさ。先年、東宮のご元服の儀式が南殿(なでん)にて盛大に執り行われましたが、その際もご出席の皆様の装いの美しさ、会場の厳かさは素晴らしいものがございました。しかし、本日のこの様子は、それに負けず劣らずといって過言ではないと存じます。
 

おや…?帝が早速ロイヤルボックスに…と思いきや、あちこち動き回られて、自ら儀式の指揮をとっておられるようです。お見受けするに、じっとしてはいられないといった風情でございましょうか。そのような視点で会場を見回してみると、なんといいますか、儀式として定められている様式以上のことが加えられているように思われます。実に美々しく、そして厳かであります。

 

わたくしの手元にあります資料によりますと、会場のあちらこちらに宴席が設けられておりますが、それなども、料理はもちろん、飾り付けなどまで、帝が自らそれらを管理する内蔵寮(くらりょう。金銀、宝器などを管理し、天皇、皇后の装束の調達や祭祀の奉納などを担当した役所)、穀倉院(朝廷の食糧倉庫)などの役所に「おろそかにしてはならぬ」と格段の仰せがあり、清らを尽くしておられるということでございます。

 

帝のロイヤルボックスは、御殿の東の廂(ひさし)の間に、東向きに設えられております。その前に冠者の席、引き入れの大臣の席が設けられているのが見えます。この引き入れの大臣は、左大臣が務めることとなっております。

 

時刻は午後4時となります。源氏の君、まもなくご入場あそばします。