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桐壷をめぐる人々 ~超訳源氏物語「桐壷」~ その三十八

38 光源氏元服のその後

 

こんにちは。靫負命婦、ゆげいのみょうぶでございます。いよいよ源氏の君もご元服あそばされ、この「桐壺」も終わりを迎えようとしております。

 

 源氏の君のご元服の後、左大臣家はいよいよ、右大臣家を圧倒するほどの権勢を誇っておいででございます。もともと帝の信任も厚かった上にご正室は帝の妹君、加えて源氏の君を婿に迎えられたわけですから、今の状況は当然といえば当然。

 

そうして左大臣は本当に、源氏の君を大切にしておられます。理由は皆さまお分かりかと思います。が、当の源氏の君はといえば、その好意に気づいてもいないご様子。

 

帝が源氏の君をそばにお召しになるというのはありますけれど、源氏の君は五、六日は内裏ですごし、二日か三日、切れ切れに左大臣邸に帰る、というような生活ぶり。それを左大臣本人は「まあ、まだ子供だから」と温かく見守っておられるようです。

 

とはいえ、左大臣邸の源氏の君と葵上には、優秀ななかからさらに選りすぐった女房を揃えて仕えさせ、機会をとらえて源氏の君が喜びそうな遊びをするなど、本当に、私がいうのもなんですが、懸命にお世話なさっておいでなのです。

 

なのに源氏の君ときたら、まあ、確かにまだ子供だからというのはあるのでしょうが、母上の藤壺の宮を慕っておられるようで、気持ちはまるで葵の上には向かない様子。

 

ここで解説させていただきますと、本当ならこんな状況でしたら、源氏の君はご自身の後ろ盾でもある左大臣に、もうすこし気を使い、つまり葵上にも気を使ってしかるべきかと存じます。そうすることが、母の実家を頼れないご自分の、出世の道につながるからです。しかし源氏の君はそんなことには全く気づいておられません。本当に左大臣家はまるで、源氏の君に片思いでもなさっているかのよう。

 

それはなぜかと申しますと、ひとえに、源氏の君の後ろ盾は今やずばり、父である帝その人だからでございます。つまり、源氏の君にとっては左大臣の重要度はあまり高くない、必要すら感じていない、という思いがあのつれない行動に出ているのだと思われます。

 

一方、源氏の君の縁談で、巻き添えのように結婚が決まった葵上の兄、蔵人少将(くろうどのしょうしょう)、今後源氏の君のライバルとして登場する頭中将ですが、彼もまた、右大臣家の姫君と結婚し、源氏の君と同じように右大臣に大切に遇されている模様です。何かあった時のために完全に敵対するのはやめておこうという右大臣の考えかと存じます。

 

しかしまた、こちらも実家、左大臣家がバックについておりますので、特に右大臣家のバックアップの必要性を感じておられないご様子。右大臣もまた、頭中将には片思いのような様相を呈しております。とはいえこちらの結婚は将来、左大臣家没落のおりには頭中将の大いなる助けとなるところが、源氏の君とは少々違うところではございます(後ろ盾に不安がないからこそ、須磨に流された源氏の君を一人、見舞う事ができるのです)。

 

さあそんな、父である帝の威光を力に、「何をしても許される身」と豪語する源氏の君と、同じく左右の大臣を後ろ盾にした頭中将。この怖いものなしの若く美しい二人の公達は今後、行く先々で出世と恋のライバルとして宮中を賑わせていくことになるのでございます。

 

その様子は今後おおいに語られていきますが、ひとまずはこれで、源氏物語第一帖「桐壺」はお終いにいたしとうございます。最後になりましたが、皆さま慣れ親しんでおられます「光源氏」という呼び名は例の高麗人がつけたということでございます。

 

長きにわたり、お付き合い、ありがとうございました。それでは皆さま、ごきげんよう。 ~終~

参考文献

 

『源氏物語(一) 桐壺-末摘花』柳井滋、室伏信助,大朝雄二、鈴木日出男、藤井禎和、今西祐一郎 校中 岩波文庫

 

「『源氏物語』右大臣家の四の君考ー大臣家の娘、そして北の方としてー」河村 知加子

 

源氏物語を読む http://james.3zoku.com/genji/index.html

源氏物語を正しく読むために https://genjisite.jp/

 

源氏物語イラスト訳で古文の偏差値20upする勉強法 https://ameblo.jp/aiaia18/entry-10297510792.html