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ベレー帽

何十年かぶりに、ベレー帽を買った。

もともと帽子は好きで、20代の頃はいろんな帽子を楽しんでいた。特にベレー帽は色違いでいくつも持っていた。

いつからお洒落で帽子をかぶらなくなったのだろう??今回、お店でベレー帽を手に取った時、ふとそう思った。あんなに好きだったのに。

 

銀座では、ある時ある場所に、普段は絶対に銀座にいない人たちが列をなすという。それは宝くじ売り場。なぜその人たちは普段銀座にいないと分かるかというと、彼らの服装だそうだ。それは、普段銀座を歩く人たちはしない、受け身的な服装だという。

受け身的な服装というのが具体的によく分からないが、自分はなんだか、宝くじを買う列に並んでも馴染んでしまいそうな気がした。そしてこのベレー帽は、そこから抜け出すアイテムのように思えた。

「買お」

私はつぶやいてレジに向かった。ベレー帽子をかぶる、というのは何か、気持ちが一歩前に出る必要があると思う。やはり受け身ではかぶれないのだな。私はどこかで、自分にブレーキをかけていたのかもしれない。