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桐壷をめぐる人々 ~超訳源氏物語「桐壷」~ その三十五①

35 光源氏の元服中継 宴編–1

 

 
こちら御休所の右大弁です。靫負命婦さん、聞こえますでしょうか。

右大弁さん、つながっています。つながっています。どうぞそちらの様子、お伝えください。

はい。現在の御休所の様子ですが、まだ、源氏の君のお姿は見えません。ほかの親王様方はもう集まっておられまして、それぞれの席でお酒を飲み始めた、といった状況です。宴会がスタートし始めている、そんな感じです。

まだ、源氏の君はいらしてないのですね?

はい、まだのようです。現場は先ほどの儀式の素晴らしさと感動の余韻で、非常に和やか、かつ華やいだ雰囲気に包まれております。あ、今、源氏の君が、源氏の君がこられました!

 

右大弁さん、源氏の君のお姿、実に麗しいですよね

全くもってその通りですね。本当に美しい公達の誕生です。そしてその源氏の君、今、親王方がお座りになっておられます席の、末席におつきになりました。

末席ですか

末席ですね。主役とはいえ、青年貴族の中では最も日が浅く、また臣籍降下されたという身分的な意味合いでも末席ということなのでしょう。席の皆さん、それぞれに源氏の君にお声をおかけになっているようです。

右大弁さん、会場、にぎやかですね。そして本当に華やか!その華やかさの中心が末席にいるというのもまた、つつましくて好ましいものがありますね。その、つつましい本日の主役、源氏の君を連れて、右大弁さんは高麗の人相見のもとに行かれたと聞いておりますが?それを踏まえて今の心境、いかがでしょう?

ああ、ええ、はい。その…嬉しいですね。あの人相見は本物ですから、今日の源氏の君のお姿は、私としては驚きでもなんでもないのですが、それでもやはり、こうして改めてご立派な様子を拝見すると、あの日の事が思い出されて、嬉しくもあり、また自分も誇らしいですね。

そうですよね。あのお小さかった源氏の君が、という思いがありますよね。

はい、本当に…あ、その源氏の君のもとに、左大臣、先ほど引き入れの大臣の役を務めた左大臣が来られました。そばに座られて…何か声をおかけになっているようです。今日は特別な役目を果たされた左大臣。そしてご自身の姫が、この後源氏の君の添い臥しの姫としての役目を果たされます。今後は義理の親子となるこの二人、一体どんな言葉を交わしているのでしょうか。