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2対1

娘が12歳になった。
ここまで育つと、個性も出てくる。

顔は私に似ていると言われることが多いが、中身は夫寄りなのがはっきりしてきた。
私は超文系。夫は理系。
私は美術館が好きで、きれいなものを見るのが好きなのだが、娘はどうやらそうでもないらしい。小さい頃は何度か美術館に連れて行ったりもしたのだが、美術館というところは子どもを警戒するせいもあって、割と情操教育的に大事な時期に行けなかったのが影響したのだろうか?
とはいえ、絶対に「嫌い」とか言う事はなくて、どっちかというと、私が絵や茶道具を見て興奮気味にしゃべる様子を眺めるのが好きみたいだ。先日の金沢旅行でも行った石川県立美術館では、まるで私の付きそいのようなスタンスで私の横に立っていた。つまり、私が作品を見てきれいだの、かわいいだの言っているのを、ふんふんと言いながら面白そうに見ているのであった。私じゃなくて作品を見ろよ、と言いたい私であったが、まあこういうのは強制しても仕方がないし、目の端にでも入っていればそのうち何とかなるだろう、なんて思っている。

夫はこの点どうかと言うと、まるで娘と同じである。もう少し、私を面白がる要素が強い感じがする。そして私がワーワー言っている対象をちゃんと調べて、それがどういう物なのかをきちんと理解してくれる(つまり私の説明だけでは分からんらしい)。
私としては、同じものを見て一緒に「わ~!」とか言ってほしかったりするのだが、そこは致し方ない。興味を持ってくれて、話を合わせてくれるだけでも恩の字だ。

対する夫と娘は数字や理科が好きだ。
二人が「子どもの科学」を読んで「おお、すごい!」というポイントは同じなのだが、私にはそれがどう凄いのかピンとこない。二人が興奮気味にそのすごさを語るのだが、私はその興奮する二人の姿が面白くて「ふ~ん」と言ってしまう。

そう、最近なんでも2対1。多勢に無勢である。

先日、家族でテレビを見ていて、夫が「音、大きくして」と言ったので大きくしたら、画面に出る、音量を示すグラフのようなものを見て「あ、もう一つだけ上げて」という。
何であと一つ?って聞いたら

「素数は嫌なの」
という答えが返ってきた。
「素数…??1とか3とかの?」
「そう。1は素数じゃないけどね。今、13だったから気持ち悪くて」
まじか、そんな感覚あるか?!って驚いた次の瞬間、娘が
「わかる~!!なんか、いやだよね!!」
と言ったのでさらに驚いた。あんたも、テストに1が素数って書いて「×」食らってたやないかい!!

そんな、テレビの音量の数値に素数もへったくれもある~?
って言ったら「あるある!いつも気にしてる!」
テレビの音量なんて、13でも14でも一緒でしょ?
って言ったら「一緒なら素数は避けたいじゃない?」
え~、分かんないよ!
って言ったら「わかるよ~!」

私が何か言う度に、夫と娘が異口同音に反論して来て、そしてお互いに「だよね」「わかるわかる」とか言い合うのが憎たらしい。
なんなの、家族でいるのに疎外感ってどうなのよ。ちぇ。

でもまあ、私も美術館には付き合ってもらってるし、ここはテレビの音量、気持ちよく14に設定してあげよう。

それにしても、少し前には娘の希望で超絶技巧がテーマの美術展に行ったりしたのにな…って思い出してハッとした。
あの時娘はその造形がどうこうよりも「どうやって作ったのか」「どんな仕組みになっているのか」に夢中になっていた気がする。
ああそうだ、そうだよ…。だから「ダリ展」とかは「別にいい」ってにべもなかったのね…。娘はどこまでも美術そのものには興味が薄いのだ。分かった。もう分かってしまった。

ああ、2対1。これから私はいつも家庭内マイノリティなのだな。あ~あ、3って素数だな…。